研究課題
本年度は,Bousfield-Kanスペクトル系列の計算手法についての研究を行った.前年度に修正した手法を球面のループ空間などに一般化しようと試みた.有効な手法を与えることはできなかったが,計算手法についていくつかの示唆を得ることができた.引き続き計算例を増やすなどして一般的な視点からの結果を与えることを目標に研究を続ける予定である.一方で,初年度より取り組んでいる不動点の一般化にあたる写像の一致点集合に関するホモトピー論においては,ホモロジーで記述していたものをPontryagin-Thom構成を用いて安定ホモトピー論的(スペクトラムを用いて)に記述することに成功した.これは特別な例である自由ループ空間に対するストリングトポロジーで与えられていた結果に類似する結果と言える.これによりボルディズム不変量と関連付けるなど,一般ホモロジー論を用いたより強力な不変量が得られた.この不変量を用いて有効な応用例を与え,論文として発表する予定である.さらに共同研究により,位相的複雑さとその変種である単位位相的複雑さ(岩瀬氏,酒井氏による)の間の基本的な不等式を得た.位相的複雑さはファイバーワイズなループ空間の高次ホモトピー構造から得られる不変量で,ロボット動作設計に起源をもつ不変量である.ファイバーワイズなループ構造に関しては,基礎理論の構築や,種々の不変量との関係の解明など,本研究で培った技術の応用の可能性が大いにあり,引き続きこの方向での研究も進めていく.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Homology, Homotopy and Applications
巻: 21 ページ: 107~128
http://dx.doi.org/10.4310/HHA.2019.v21.n1.a6
Topology and its Applications
巻: 243 ページ: 159~162
https://doi.org/10.1016/j.topol.2018.04.012
http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/~tsutaya/