研究課題/領域番号 |
16K17595
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
尾國 新一 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (00549446)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 粗幾何学 / 粗ホモトピー / 粗Baum-Connes予想 |
研究実績の概要 |
粗Baum-Connes予想に関わる粗幾何学について研究を進めた。粗Baum-Connes予想は、Novikov予想など微分トポロジーへの応用があるということ、および、ヒルベルト空間への粗埋め込み可能性や漸近次元の有限性などの粗幾何学における重要な性質の応用先であるということから、幾何学者やトポロジストを中心とした様々な研究者に興味を持たれている。この予想に対して、粗ホモトピーという概念がときとして有効である。このことは、Nigel HigsonとJohn Roeによる論文‘On the coarse Baum-Connes conjecture’などにより明らかにされたことである。今年度は、この粗ホモトピーの有効性をさらに押し上げるという方向性での研究を進めることができた。そのことについて、2017年三月に静岡県伊東市で行われたワークショップ「第3回幾何学的群論若手勉強会」において、‘粗ホモトピーについて’というタイトルで講演を行い、複数の参加者と議論することができた。また、このワークショップは首都大学東京の深谷友宏氏らと企画し実行したものであり、Denis Osinによる論文‘Acylindrically hyperbolic group’について、複数の若手の幾何学的群論に関わる研究者と共に考察を行い、今後の研究のための知見を得ることができた。このワークショップでは、タイヒミュラー空間の幾何学に関わる講演もあり、これらの粗幾何学的研究を進めるための知見も得ることができた。これらの知見は次年度以降の研究につながると期待できるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記した通り、一年目の研究としておおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要に記した通り、一年目の研究としてはおおむね順調に進んだので、引き続き本研究を進める。特に、粗ホモトピーという概念のより強い有効性を明らかにしていくことや、Acylindrical hyperbolicityと粗Baum-Connes予想との関係を明らかにしていくことが重要だと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
出席を予定していた研究集会を都合により欠席したため。
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次年度使用額の使用計画 |
京都大学数理解析研究所で開かれる研究集会「集合論的・幾何学的トポロジーの動向と諸分野との連携」への出張旅費として使用する。
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