研究課題/領域番号 |
16K17595
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
尾國 新一 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (00549446)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 双曲性 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、粗幾何学に関わる研究を進めた。粗幾何学は、距離空間が主な研究対象であるが、有限生成群は語距離によって距離空間とみなせるため、これも代表的な対象であり、幾何学的群論との関係が深い。この年度においては、特に、幾何学的群論と関わるところで研究を進めることができた。非正曲率性や双曲性はもともとは微分幾何学的な概念であるが、幾何学的群論や粗幾何学において非常に重要な概念として発展している。 最近、私は加藤本子氏(愛媛大学)との共同研究において、群の双曲性の一つである非シリンダー的双曲性に関わる研究を行った。非シリンダー的双曲性はGromovの意味での双曲性よりも弱い概念であるが、その分、具体例も豊富で、また、多くの応用を持つこともあって、幾何学者、トポロジスト、作用素環の専門家を中心とした様々な研究者に興味を持たれている。実際に、共同研究においては、Artin群(の中心による商群)が非シリンダー的双曲性を有するかどうかという問題に関わる研究を行い、Acylindrical hyperbolicity of Artin groups associated to triangle-free graphs and cones over square-free bipartite graphsというタイトルのプレプリントを共著で作成した。また、この論文の内容についての講演を、第15回代数・解析・幾何学セミナー(鹿児島大学)で行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記した通り、四年目の研究としておおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要に記した通り、四年目の研究としてはおおむね順調に進んだので、引き続き本研究を進める。特に、群の双曲性に関わる性質について引き続き研究し、具体例を増やしていくことが重要であると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、年度末に出席予定であった研究集会や学会が中止となるなど、他研究者との議論や情報交換を行うことを先送りにせざるを得なかったため、1年間の延長申請を行った。新年度において、予算を研究集会出席のための旅費、および、Webでの研究打ち合わせのための機器費として使用する。
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