研究実績の概要 |
1.(twisted) Alexander不変量は群表示からFox calculusによって計算され, 群の不変量を与える. 2019年度の研究では, 2018年度の研究から引き続いて, カンドルを用いたFox calculusの拡張版を定義し, 幾つかの具体的計算例を紹介した. この結果を論文として纏めた. また, カンドルを用いたFox calculusの拡張版を用いて得られるtwisted Alexander行列の行における線形関係式を与えるrow relation mapというものを定義し, row relation mapとtwisted 2-cocycleがshadow quandle 2-cocycleを与えることを証明した. これは, 結び目不変量であるgeneralized quandle cocycle invariant が shadow quandle cocycle invariantの一種であることを示している. この研究は筑波大学の石井敦氏の協力のもと行った。 2.結び目図式のDehn coloringは, 補領域におけるアーベル群の元の割り当てで各交点で交点条件を満たす. 本年度の研究では, Dehn coloringを空間グラフに定義するための頂点条件を全て決定した. また, 頂点条件の分類に必要な写像がvertex-weight invariantをいう空間グラフ不変量を与えることを示した. 空間グラフの(頂点条件なしの)Dehn coloringの数や空間グラフが含む結び目の種類では区別出来ない例で, vertex-weight invariantによって区別されるものの計算例を紹介した. vertex-weight invariant については, 論文として纏めた. この研究は秀明大学の大山口菜都美氏の協力のもと行った.
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