研究実績の概要 |
本研究の目的は, 4次元シンプレクティック多様体やLefschetz fibration全体の振舞いを調べることである. シンプレクティック構造は, 偶数次元の多様体に対し定義され, 複素構造に似て非常にきれいな構造である. Lefschetz fibrationとは“有限個のある型の特異ファイバーをもつ曲面上の曲面束”のようなものである. 任意の有限表示群に対し, その群を基本群にもつような4次元シンプレクティック多様体やLefschetz fibrationはこれまでにいくつか構成されていた. 一方, Noether lineの下の領域に任意の有限表示群を基本群にもつ4次元シンプレクティック多様体は構成されていたが, Lefschetz fibrationについてはいまだ見つかっていなかった. これまでに, 申請者は, 単連結で, 全空間が極小であり, Noether lineの下の領域にある多様体について, Lefschetz fibartionの構造が入る例を構成した. 上述の背景のもとで, 申請者は, 申請者の結果の一般化として, 任意の有限表示群を基本群にもち, 全空間が極小であり, Noether lineの下の領域にある多様体について, Lefschetz fibrationの構造が入る例を構成した. 特に, Noether lineの下の領域にある多様体は複素多様体ではないため, 得られたLefschetz fibrationは非正則であることがわかる. Lefschetz fibrationと写像類群の文字列である条件を満たすものが対応する. 申請者は, 与えたLefschetz fibrationにおいても対応する写像類群の文字列を具体的に与えている.
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