研究実績の概要 |
自己共役作用素の摂動問題の複雑さの研究、及びそれに関連するユニタリ群の作用の研究、作用素環の超積の研究等を行ってきた。 最終年度は松澤泰道氏(信州大学)と共に、無限次元ヒルベルト空間Hのユニタリ群U(H)の強作用素位相及びノルム位相に関する閉部分群のPolish群としての性質を研究した。特に次の事を示した: Mを可分半有限無限因子環とする。このとき1<=p<\inftyに対して,L^p-ユニタリ群U_p(M)={u\in U(M): u-1\in L^p(M)}にL^p距離を入れたものをPolish群とみなす。このとき, U_p(M)の閉部分群Gが性質(FH)、すなわち任意のGのヒルベルト空間への連続アフィン作用が不動点を持つ、ならば、ある有限射影q\in Mが存在して, GはU(qMq)の閉部分群に同型である。特にGはPopaの意味でfinite typeとなる。この事から特にPestovの問、U_2(B(H))が性質(FH)を持つか? に否定的解答を与える事ができた。また単位的C*環Aのユニタリ群U(A)の1の連結成分U_0(A)がノルム位相を与えたものがRosendalの性質(OB)、すなわち任意のU_0(A)の距離空間への連続等距離作用の全ての軌道が有界となる、を持つ事と、AがRingroseの意味で有限のexponential lengthを持つ事が同値である事を示した。この事を応用して、多くのC*環Aで、群U_0(A)が性質FHを持つが、性質(T)を持たない事が分かった。性質(FH)と性質(T)は局所コンパクトPolish群に対しては同値な概念であるため、この事実は非局所コンパクト群としてのU_0(A)の興味深い性質を表している。 また、昨年度行ったIII型因子環の包含に関するBicentralizer flowに関する研究論文が出版された。
|