この研究では非双曲型力学系の構造及び分岐に関して理論と数値解析の両面から研究を進めた.具体的な主題として3つの主題があるが,それぞれに関して研究の進行状況を述べる. 1.野生的力学系の分岐理論について.2017年3月に共同研究者と研究打ち合わせを行い,partially hyperbolic filtratin Markov partition と呼ばれるクラスの力学系の野生性を証明するのに必要な,反復関数系に関する技術的な命題の証明の準備を進めた.論文の執筆は順調であり,2018年度中には論文の形にまとめられるのでないかと思われる. 2.非双曲型力学系の周期点の増大度について.部分双曲型力学系と呼ばれる非双曲型力学系のクラスに対して,なめらかなカテゴリーにおいて周期点の増大度を通有的(generic)な観点から調べた.2017年度中に共同研究者らと打ち合わせを行い論文執筆を進め,ほぼ原稿が出来上がった状態になっており,近いうちに論文を公開し,投稿する予定である. 3.ブレンダーの数値計算と可視化.非双曲型力学系を生成する重要なメカニズムのひとつであるブレンダーと呼ばれる構造に関して数値計算と可視化の観点から研究を進めた.中心方向の双曲性が弱い系での不変多様体の計算,およびあるブレンダー発生を数値的にとらえる計算スキームの開発などを行い,これらの結果は論文としてまとめ,現在専門誌に投稿中である. これらの研究成果の周知のために,アメリカと中国で開催された研究集会に参加した.
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