研究実績の概要 |
主に位相的漸化式 (topological recursion) と完全 WKB 解析 (exact WKB analysis) や Painleve 方程式の間の関係について研究した. あるスペクトル曲線から位相的漸化式により定まる摂動的な分配関数が第 2 Painleve 方程式の摂動的なタウ函数と一致するという結果を, 全ての Painleve 方程式に対して拡張した. (Olivier Marchal 氏 (Lyon), Axel Saenz 氏 (Virginia) との共同研究.) 位相的漸化式の分配函数に起こる Stokes 現象を記述する公式も幾つか得ており, 国際研究集会で発表した. これらは近いうちに論文にまとめたいと考えている.
位相的漸化式と完全WKB解析の関係において, 神戸大学の小池達也氏, 竹井優美子氏との共同研究で「位相的漸化式の自由エネルギーと完全WKB解析における Voros 係数の関係」を, 調和振動子の場合に定式化し, 証明することにも成功した. この結果の拡張は今後の課題である.
さらに, トロント大学の Marco Gualtieri 氏らとの議論を通じ,「Gaiotto-Moore-Neitzke の abelianization の完全WKB 解析による定式化」に対し, ある一定の結果を得ることができた. 特に, Spectral network における path-lifting rule が WKB 解に対する Voros の接続公式そのものであることを示した.
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