研究実績の概要 |
平成30年度は主に以下の2つの研究を重点的に行った. (1) 一般の可分核型単純stably projectionless C*-環Aの中心列C*-環F(A)の性質の研究 (2) Wと呼ばれる特別な核型単純stably projectionless C*-環への有限群作用の研究 (1)の研究では, 昨年度得た結果である「F(W)の単位元は無限射影である」という性質がもっと一般の可分核型単純stably projectionless C*-環に対しても成立しないかということを研究した. 残念ながら, この方向の研究では具体的な良い成果は得られなかった. しかし, 「F(W)の単位元は無限射影である」ということの証明の重要なポイントを整理することができ, (2)の研究に対して良い影響を与えることができた. この研究で得られた成果は岡山大学で行われた「日本数学会2018年度秋季総合分科会」において口頭発表した. (2)の研究では, 特別な形をしたWへの有限群作用がRohlin性を持つことを示した. これは, Cuntz環O_2への有限群作用のIzumiによる研究結果の類似がWでも成立するということである. 特に, 広いクラスの作用が共役の意味で一意的であることが示せた. Rohlin性を示すためには中心列C*-環の固定部分環の性質を解析することが重要になるが, (1)の研究から着想を得て, 固定部分環が良い性質を持つということが示せた. この研究成果は大阪教育大学で行われた「作用素環論研究会」において口頭発表した.
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