研究課題/領域番号 |
16K17618
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
大野 貴雄 大分大学, 教育学部, 准教授 (40508511)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Newtonian空間 / Musielak-Orlicz空間 / 距離空間 / 楕円型偏微分方程 / Dirichlet integral |
研究実績の概要 |
近年,変動指数をもつ関数空間,Orlicz空間や変動指数をもOrlicz空間の研究が,宇宙開発の分野への応用が非常に期待されている電気粘性流体(ER流体)の研究の更なる発展に必要であることがわかってきた.よって本研究では,この領域における研究の更なる発展のため,上記3つの関数空間を含む関数空間(Musielak-Orlicz-Newtonian空間)を定義し,n次元ユークリッド空間では楕円型偏微分方程式の解に相当する,距離空間上のDirichlet integralの最小値問題の解の存在を示すことを目的とする. 本年度は,上記の目的のために,主にMusielak-Orlicz-Newtonian空間の諸性質について研究を行った.具体的には,除外集合を測るツールとして有用なMusielak-Orlicz-Newtonian空間上の容量の性質やモジュラスとの関係を研究し,今後の研究を進めていく上で有用な成果を得ることができた.また,Dirichlet integralの最小値問題の解を定義する上でMusielak-Orlicz-Newtonian空間における弱上微分の存在が必要となるが,その弱上微分の存在を証明することができた.さらにMusielak-Orlicz-Newtonian空間と曲線上絶対連続な関数族との関係や境界上0の値をもつMusielak-Orlicz-Newtonian空間の性質など,今後の研究を進めていく上で必要な成果を得た.また,境界上0の値をもつMusielak-Orlicz-Newtonian空間の性質について研究を進める上で,類似の関数空間であるMusielak-Orlicz-Hajlasz空間について,境界上0の値をもつMusielak-Orlicz-Hajlasz空間の特徴づけまで研究を行うことができた. 尚,本年度の研究成果は,本研究対象であるMusielak-Orlicz空間が,Lebesgue空間やOrlicz空間,変動指数をもつ関数空間などを包括した関数空間であるため,本研究で得られた関数空間の性質は他の特殊な関数空間で応用可能であることより,本研究のみならず他の研究分野にも意義があると思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り,Musielak-Orlicz-Newtonian空間上の容量の性質やモジュラスとの関係,Musielak-Orlicz-Newtonian上の弱上微分の存在,Musielak-Orlicz-Newtonian空間と曲線上絶対連続な関数族との関係や境界上0の値をもつMusielak-Orlicz-Newtonian空間の性質などが予想をしていた形で結果を得られたこは,当初の計画通り研究が進んでいると思われる.また,境界上0の値をもつMusielak-Orlicz-Newtonian空間の性質について研究を進める上で,類似の関数空間であるMusielak-Orlicz-Hajlasz空間について,境界上0の値をもつMusielak-Orlicz-Hajlasz空間の特徴づけまで研究が進んだことは,当初の計画以上に研究が進展していると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,当初の計画通り,28年度の研究成果であるMusielak-Orlicz-Newtonian空間の諸性質を利用することで,Musielak-Orlicz-Newtonian空間におけるPoincareの不等式について研究を進めていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として,「研究業績の概要」,「現在までの達成度」でも触れたように,研究対象の空間を増やし新たな空間も研究対象としたため,購入予定の研究書が変更になったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
29年度には次年度使用額と29年度請求額を用いて,変更になった研究書も購入する予定である.
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