研究課題
令和元年度の研究では、次の4つの成果を得た。1つ目は、高階KdV型方程式に対する漸近挙動の解明である。以前の研究において5階KdV型方程式に対する解の漸近挙動についての結果が得られていたが、それを高階のモデルに拡張することができた。波束テスト法を用いたある程度統一的な議論ができ、より広範な分散型方程式に援用可能であることが示唆された。2つ目は、2次の非線形項を持つ半線形KdV型方程式の初期値問題の適切性の解明である。非線形項の次数が3次以上の場合には、Sobolev空間における適切性が逐次近似法により示されている。一方で、非線形項が2次の場合、微分が2階以上では、Sobolev空間においては逐次近似法を用いては適切性が得られないことが知られている。本研究では、初期値の原始関数の有界性を課すことで、ゲージ変換を用いて適切性が得られることを示した(平山浩之氏、Shinya Kinoshita氏との共同研究)。3つ目は、空間1次元Dirac-Klein-Gordon方程式系の初期値問題の非適切性の解明である。先行研究にて残されていた点における非適切を示し、Dirac-Klein-Gordon方程式系の初期値問題が適切または非適切となる初期値のSobolev空間の指数を分類した(町原秀二氏との共同研究)。4つ目は、確率非線形Schrodinger方程式の初期値問題の適切性の解明を行った。特に、確率的な議論と摂動論を組み合わせることで、質量臨界やエネルギー臨界な状況を考察し、時間大域的な適切性を証明した(Tadahiro Oh氏との共同研究)。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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