研究課題/領域番号 |
16K17633
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
石田 敦英 東京理科大学, 工学部教養, 講師 (30706817)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 分数冪ラプラシアン / 逆散乱問題 / 散乱作用素 / 波動作用素 |
研究実績の概要 |
・通常のシュレディンガー作用素を分数冪とした分数冪ラプラシアンの逆散乱問題について、昨年度得られた研究結果を数多くの国際会議ならびに国内会議、研究集会にて成果発表を実施した。特に、2018年3月に香港のBaptist Universityで開催された国際会議「The 3rd East Asia Section of IPIA Young Scholars Symposium」において招待講演を受け、さらに本研究業績に対して「The 3rd East Asia Section of IPIA Young Scholars Symposium Young Scholar Award」を受賞した。波動作用素を用いて定義される散乱作用素の高速極限を考えることで、相互作用ポテンシャルの一意性が導かれる。この手法は1995年にエンス氏とヴェーダー氏によって、シュレディンガー作用素に対して考案されたのが最初である。研究代表者による本結果は、エンス氏とヴェーダー氏の結果の分数冪ラプラシアンの場合への拡張となっている。この一意性を得るためには、エンス型伝播評価と呼ばれる粒子の時間発展についての不等式が必要となるが、この不等式についても新しい方法により証明することができた。今後は、ポテンシャルの遠方での減衰が弱い長距離型の取り扱いや、特異性を持つもの(主にクーロンタイプ)などさらなる応用と進展を計画している。 ・2018年1月に、本年度の本科研費を一部用いて研究集会「スペクトル・散乱葛飾シンポジウム」東京理科大学葛飾キャンパスにて実施した。ベテラン研究者からなる2つの連続講演に加え、多数の若手研究者を招聘し、幅広い最新の研究動向を吸収できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分数冪ラプラシアンについての逆散乱問題の結果が査読中である。また関連する複数の研究についても現在進展中であり、おおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
・分数冪ラプラシアンの下での逆散乱について、空間遠方での減衰の弱い長距離型相互作用ポテンシャル、また局所クーロン 型の特異性を持つ相互作用ポテンシャルを含めた形へと進展させていく。 ・エンス氏とヴェーダー氏の考案した高速極限を用いた手法を、様々な物理系に応用することを考えていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
16千円程度の繰越が生じたが、ほぼ計画通りに使用することができた。繰越分は都度必要となる旅費や図書に充当する予定である。
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