研究実績の概要 |
2020年度に出版されたこの研究課題に関する結果としては K. Okamoto, et. al. Fractal mechanism of basin of attraction in passive dynamic walking. Bioinspiration & Biomimetics, 15 (5), (2020) が挙げられる.これは受動歩行モデルの吸引領域の形成メカニズムについて詳細に調べた論文である.この研究は大林の I. Obayashi, et. al. Formation Mechanism of a Basin of Attraction for Passive Dynamic Walking Induced by Intrinsic Hyperbolicity. Proc. Royal Society A, 472 (2190), (2016) を発展させた研究である.もとの研究では吸引領域のフラクタルの形成についての数理的議論がなされていたが,それがされる/されないの分かれ目にある数理的メカニズムは明らかではなかった.この研究ではその部分を詳細に調べ,フラクタル構造の段階的な変化の数理メカニズムについて明らかにしたものである. その他,この研究課題に関する去年度arxivに公開した論文 Ippei Obayashi, Michio Yoshiwaki. Field choice problem in persistent homology, https://arxiv.org/abs/1911.11350 については現在論文を大幅に改訂し,数値実験に関する結果を加えた上で再投稿を行って査読待ちの状況である. この他,計算トポロジーの数学外への応用(材料科学や地質学)に関する論文,そして大林が開発している計算トポロジー(パーシステントホモロジー)を用いたデータ解析ソフトウェアに関する解説なども出版された.
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