研究実績の概要 |
連立非線形楕円型偏微分方程式は様々な現象を表し,その解は現象の理解に非常に重要である.しかし,現在では解析的に解の存在を証明することも難しい.そのため,本課題では平成28年度の計画は定常Gray-Scott方程式の解に対する精度保証付き数値計算法を開発する予定であった.それに対し計画通り,定常Gray-Scott方程式に対する線形化作用素の逆作用素のノルム評価を考案し,精度保証付き数値計算法を構築した. その成果とし「関根晃太, 田中一成, 大石進一, "有界な凸領域における連立楕円型偏微分方程式の解の計算機援用存在証明法", Proceedings of the Twenty-Eighth RAMP Stmposium, Nigata University, (2016/10/13)」と「関根晃太, 田中一成, 大石進一, "ある無限次元固有値を用いた楕円型偏微分方程式の解の存在性に対する計算機援用証明法", RIMS講究録, (2016/10/21)」として公表した. この成果は,今まで困難であったL2-H10の線形化作用素の無限次元固有値を用いた厳密な評価法を,作用素の分数冪を用いて無限次元固有値問題に帰着することで解決した今までにない画期的な成果である.さらに提案した方法は,非自己共役作用素においてもH2レギュラリティを考慮せずに計算可能としていることも特徴である.また,無限次元固有値問題は劉-大石の定理を用いてダイレクトに評価できるため,結果として非常に良い精度良くなる.その結果,定常Gray-Scott方程式の解に対する計算機援用証明法の構築に成功した.今後定常Gray-Scott方程式に限らず,さらに一般化を行い拡張することで,課題の遂行を実現する.
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