研究課題/領域番号 |
16K17651
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
関根 晃太 東洋大学, 情報連携学部, 助教 (80732239)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 計算機援用存在証明法 / 精度保証付き数値計算 / 楕円型偏微分方程式 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的はDirichlet境界条件を持つ大規模な楕円型連立偏微分方程式の解に対する計算機援用存在証明法を考案することである.その中でも中核である線形化作用素の逆作用素のノルム評価法の開発が重要となる.初年度であった平成28年度までには開発した定常Gray-Scott方程式のような楕円型連立偏微分方程式でも計算可能となる線形化作用素の逆作用素のノルム評価法を計画通り開発した. そこで2年目である平成29年度では,計画通り楕円型2元連立偏微分方程式に理論の一般化を行った.さらに,理論的な側面の拡張に加えて,この成果はより多くの人に簡単に利用できるようにVCPライブラリとして公表を行った.公表したライブラリを用いることで,気軽にユーザーが本研究課題で提案している線形化作用素の逆作用素のノルム評価法を用いた楕円型2元連立偏微分方程式の解の計算機援用存在証明法を可能としている. これにより計画書の平成29年度に記載していた「二元連立非線形楕円型偏微分方程式の解の存在性を証明する計算機援用証明法を考案」を達成しつつ,研究成果の発信方法で記載していた「作成したプログラムをサーバーにアップロードし全世界に発信する」も達成した.また,研究成果とライブラリの公表を多くの人へ認知していもらうために平成29年度には学会発表を3件行った. これらの成果をもとに平成30年度はより大規模な連立非線形楕円型偏微分方程式の解の存在性を証明する計算機援用証明法に着手し,さらに情報の公開も行っていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に記載していた平成29年度の目標は「平成28年度に構築した定常Gray-Scott方程式の解に対する計算機援用証明法の特に重要となる部分である線形化作用素の逆作用素の評価法を二元連立非線形楕円型偏微分方程式」へ拡張することであった.この目標を達成し,さらに,学会発表を行い広く理論の公開を行った.さらに,理論の公開と共に二元連立非線形楕円型偏微分方程式の解に対する計算機援用証明法のライブラリの公開も行った.これらは予定で通り進んでいるため順調であるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書通り平成30年度は「平成29年度の実施した二元連立非線形楕円型偏微分方程式の解に対する計算機援用証明法をN元連立楕円型偏微分方程式の解に対する計算機援用証明法へ拡張」することである.そのために,理論的な面では中核をなす線形化作用素の逆作用素のノルム評価の拡張を行う.さらに,ライブラリとしては今まで公開している二元連立非線形楕円が偏微分方程式の解に対する計算機援用証明法に加え,さらに一般化したプログラムを作成し公開する.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度には大規模な計算を行うための計算機サーバーを購入する予定であった.しかし,Intel CPUのメルトダウン問題と様々な要因によるDRAMの高騰により,必要なスペックを要する計算機サーバの購入が困難になったため平成30年度に次年度使用額が生じた.しかし,研究計画としては大規模な計算を行う予定は平成30年度であり,平成28年度に購入したPCによる計算のみで平成29年度は研究計画には支障はなかった.
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