研究課題
本研究は、日米の太陽観測衛星「ひので」「IRIS」「SDO」、及びアルマ望遠鏡を駆使し、太陽コロナ加熱問題解明に迫るべく、適切なデータを取得し、その解析を推進するものである。2018年においては、その前年度に採択されたアルマ望遠鏡観測提案に沿った観測が実施されたものの、観測割当時間に太陽面に適切な観測ターゲットが存在せず、結果として 2年連続で自身のデータを取得することができなかった。しかし、共同研究者が前年度実施したアルマ望遠鏡による電波波長帯でのスピキュール観測のデータ解析を担当し、衛星「IRIS」や「SDO」の紫外線・極紫外線のデータとの位置合わせや画像処理などを進めた。そして、世界で初めてとなる電波観測によるスピキュールの撮像観測に関する論文を発表するに至った。観測された主な特徴としては、アルマ望遠鏡で観測したスピキュールは、衛星「IRIS」や「SDO」で見られるスピキュールと概ね一致した構造を持っていることが挙げられる。しかし一方、電波観測から見積もったスピキュールの密度は典型的な値よりも低いことがわかった。コロナ加熱研究を高い精度で行うには、今後アルマ望遠鏡の複数バンドを用いた観測によって光学的厚さの見積もりを正しく行うことが必要であるとの結論に至った。上述の結果に加え、当課題で使用予定であった「ひので」の撮像装置の不具合発生のため、偏光分光装置で本課題を達成できる解析手法を模索している中で発見した、太陽観測史上最強の黒点磁場について「ひので」の全データ解析を実施し、昨年度出版した論文の結果が統計的に正しいことを示した。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
The Astrophysical Journal
巻: 863 ページ: 96 (5pp)
10.3847/1538-4357/aad27e
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 70 ページ: 100 (15pp)
10.1093/pasj/psy047