研究課題
本研究では、「大質量星の進化の理解」を目指し、大質量星の質量放出率を進化段階ごとに明らかにすることを目的としている。特に、ウォルフ・ライエ (WR) 星という進化末期段階に注目し、X線分光観測を用いて、X線吸収量と光度の変化から大質量連星の質量放出率の測定を行う。1年目は、WR140(2016年12月に近星点通過)、WR19(2017年5月に近星点通過)、WR125の3つの大質量連星をターゲットとし、観測提案の作成・提出、観測データの取得、データ解析を行った。3つのターゲットについて、SwiftとXMM-Newton衛星を用いた即応観測を積極的に実施し、X線モニター観測を行うことができている。取得したデータを解析した結果、WR140とWR19で、X線スペクトルの変動が確認され、特にWR140では軟X線帯域で今まで確認されていなかったスペクトル成分に変動を発見した。これらの観測結果は、速報として国内学会(2016年9月、2017年3月)や国際学会(2016年12月)で報告した。現在、得られたスペクトルを元に質量放出率の算出を進め、論文を製作し始めている。また、国内外の共同研究者と定期的に会合を開催しており、観測計画やデータ解析手法について意見交換も行っている。チームで提出したWR140とWR19の観測提案が受理されており、これらの天体に関しては、来年度も引き続きX線観測を行っていく。
2: おおむね順調に進展している
順調にX線観測データを取得できており、データ解析が進んでいる。また、今年度提出した観測提案が受理されており、WR140とWR19は次年度も継続してX線観測が実施される。
今年度と同様に精力的に観測データの収集に努める。また、次年度は詳細なデータ解析を行い、結果を論文にまとめる。
1年目は観測データの取得に注力し、予定していた解析用計算機の購入を次年度に持ち越したため。
解析用計算機の購入、論文掲載料、国内外の研究会の旅費を主な経費として計上する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 6件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 12件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 8件)
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