研究課題
本研究では、「大質量星の進化の理解」を目指し、大質量星の質量放出率を進化段階ごとに明らかにすることを目的とし、進化末期段階のウォルフ・ライエ (WR) 星のX線分光観測を用いて、X線吸収量と光度の変化から大質量連星の質量放出率の測定を行った。最終年度は、大質量連星WR125のSwiftとXMM-Newton衛星を用いた観測データを解析し、過去のX線観測データ(Einstein、ROSAT衛星)も用いて36年にわたる長期間のX線変動を初めて報告し、典型的な質量放出率でX線吸収量が説明できることを確認した。また、比較的連星周期の短い大質量連星WR25(周期208日)のX線観測データを用いて、スペクトル解析を行い、質量放出率を測定することができた。このWR125の解析では、X線吸収量の変化から連星の軌道傾斜角を制限することに初めて成功した。本研究手法により、質量放出率だけでなく、連星軌道に対する見かけの角度にも依存するが、軌道傾斜角に対しても制限可能であることがわかった。星風衝突を起こしている楕円軌道の連星系のX線分光モニタリングによる質量放出率測定は、従来の電波・可視近赤外線観測と比べ、不定性が小さいという利点があった。3年間の研究によって、本研究手法を周期30日から10年に至る連星に対して適用し、質量放出率が十分な精度で測定できることを検証できた。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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