研究課題
全ての重い恒星(太陽の8倍以上重い恒星)は進化の最終段階で重力崩壊するが、その後は(1)華々しく超新星爆発を引き起こすか、(2)爆発せずに静かにブラックホールに潰れ込むかの二手に分かれると考えられている。爆発の成否を左右する最重要パラメータの一つが爆発元の星「親星」の質量である。そのため、どの質量範囲の星が爆発に至るのかを特定することが、現代宇宙物理学の重要課題となっている。我々は、天の川銀河および隣の銀河であるマゼラン星雲内に存在する重力崩壊型超新星残骸の親星の質量分布を初めて導出した。得られた親星質量分布は、標準的なサルピーターIMFと一致した。これは、大質量星は全て超新星爆発を起こしていることを意味する。また、近年有力になりつつある「17-25太陽質量の恒星は爆発せずにブラックホールに潰れ込む」とする仮説と食い違っており、非常に興味深い。なお、親星質量導出においては、元素組成比を恒星・超新星元素合成モデルと比較する手法を適用したが、従来のように全ての元素組成比のバランスを取るのではなく、Si/Fe比のみに注目する必要があることを指摘した。これは、今後の研究でも考慮されるべき重要な新視点である。本結果は、査読論文としてまとめるとともに、国際会議で2回報告した。この他、XMM-Newton/RGSによる高分散スペクトル解析からは、(1)白鳥座ループ超新星残骸南西端に位置する輝点構造のから電荷交換反応由来のX線を検出、(2) ティコの超新星残骸の南東に位置する構造に酸素が豊富に含まれることを明らかにするなど、多岐にわたる成果を上げた。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 9件、 招待講演 4件)
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