本年度は昨年度の解析で得た結果の論文執筆を主に行った。 すざく衛星のアーカイブデータを用いた、天の川銀河高温ガスハローの密度分布・金属量分布の結果から、ディスク状の高温ガスが存在すること、それらが銀河円盤上の重力崩壊型超新星によって生成されたことを明らかにし、Astrophysical Journal誌に掲載された。また、この結果について理研からプレスリリースも行った(http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180720_3/)。 同じくすざく衛星の観測を用いて、天の川銀河中心から正の銀緯方向に広がる高温ガスについても温度・密度分布を求め、他波長のデータとの相関から、銀河中心付近で起きた超新星により生成された高温ガスが強い磁場に沿って吹き出したとの描像を得た。この結果をAstrophysical Journal誌に投稿し、受理された。 ひとみ衛星の off-plane 領域の観測結果も解析したが、性能が制限された状態での運用だったこと、観測時間が非常に短かったことから、新たな知見を得ることはできなかった。 本研究により、天の川銀河内で起きた超新星によって高温ガスが噴き出していることが、観測的に明らかになってきた。さらに研究を進めるためには、高温ガスの運動学・金属組成の情報が必要であり、それらは2021年度に打ち上げ予定のXRISM衛星によって測定できると期待している。
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