宇宙には質量を持つという性質しか明らかになっていない暗黒物質が存在していると言われ、その正体の解明は宇宙物理学の最大の目標の一つである。本研究では、宇宙初期から存在する原始ブラックホールがその正体であるとする仮説の部分的な検証を試みた。原始ブラックホールのうち比較的軽いものはHawking効果と呼ばれる現象によって様々な粒子を放射すると考えられ、それらが宇宙空間を伝播して地球に到達し、宇宙線として観測される可能性がある。最近の観測データとの比較から、着目した質量範囲にある軽い原始ブラックホールの量だけでは暗黒物質の全体を担うには十分ではなく、他の候補に目を向けていく必要があることが分かった。
|