研究課題
高い感度と高い空間分解能を有する磁場測定技術は、基礎物理分野を始めとして多くの領域で必要とされている。本研究では、極低温まで冷却されたアルカリ原子を光格子に閉じ込めることで、高感度で高空間分解能を有する磁力計の開発を目指す。昨年度はルビジウム(Rb)原子を磁気光学トラップ(MOT)によって捕獲し、偏光勾配冷却によって原子集団の冷却温度の更なる改善を行うことで、光格子中に原子を捕獲することに成功した。今年度は非線形磁気光学回転(NMOR)を測定するための光源として、2台の外部共振器型半導体レーザー(ECDL)の開発を行った。偏光の回転角度観測のためのプローブ光源と、Rb原子の磁気副準位に偏極するためのポンプ光源をARコーティングの施された半導体素子を用いて製作し、両方共にRb原子に共鳴する780 nmの波長の光を発振させることに成功した。またRb蒸気セルを用いた周波数変調分光法の実験系の構築を行い、周波数安定化回路にこの信号を入力することで、ECDLへのフィードバック信号を得ることができ、周波数安定化を行うことが可能となった。ポンプ光を原子に照射後、ポンプ光の偏光と同じ偏光を有するプローブ光を入射することで透過光強度の変化を観測することができ、原子が磁気副準位に偏極されていることを確認できた。またプローブ光の偏光面の回転度合を検出するため、偏光ビームスプリッタによって光を分け、その強度差を観測するための測定系の構築も行うことができた。これらの実験によって得られた結果を、国際・国内の学術会議で報告することができた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://inst.cyric.tohoku.ac.jp/