研究課題
本研究課題は,場の量子論におけるBion配位(複素化された理論の古典解に対応)に着目し,理論の定式化と非摂動現象の解明を同時に実行することを目標とする.前年度までに,コンパクト化されたCPN模型におけるリサージェンス構造とトランス級数の理解,ツイスト境界条件を課したQCDの相構造の解明,などを実施し目標達成に近づいていた.本年度は,(1)2次元CPNシグマ模型のリサージェンス構造,(2)3次元超対称チャーン・サイモン物質場理論のリサージェンス構造とシンブル構造,(3)2次元Flagシグマ模型の相構造解明,という3つの研究を進めた.(1)慶應大の新田教授,坂井訪問教授,藤森助教,ノースカロライナ大の鎌田研究員との共同研究において,2次元ツイストCPN模型の複素Bion解の寄与が繰り込まれた結合定数を自然に含み,その不定虚部がリノマロン不定虚部を相殺することを示した,これにより,場の量子論のリサージェンス構造が初めて定量的に示されるとともに,低エネルギー物理に深く関係するリノマロンがバイオン配位と同定できることが示された.この成果は当初の研究目標の達成に当たる.(2)ケンブリッジ大の本多正純研究員らとの共同研究において,3次元超対称物質場チャーン・サイモン理論のリサージェンス構造を詳細に調べた,局所化により得られた分配関数をボレル和の形に書き現わす,もしくはシンブル積分に分解することでトランス級数(摂動寄与と非摂動寄与の和)を書き下し,本多氏が発見した複素解と比較することでリサージェンス構造を理解した.(3)理研BNLの谷崎佑弥研究員,理研の本郷優研究員との共同研究において,2次元Flagシグマ模型にツイスト境界条件を課した場合の相構造を調べた.インスタントン近似,量子異常マッチング基づいて相構造の詳細を解明するとともに,リサージェンス構造に関係する不定虚部の計算を行った.
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 7件) 備考 (1件)
Journal of High Energy Physics
巻: 2019(02) ページ: 070-1 - 070-32
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http://sht.phys.akita-u.ac.jp/misumi/