すばる望遠鏡を使った銀河撮像計画「ハイパーシュプリームカム(HSC)」による銀河1000万以上を含む第1期銀河撮像データを使いCOSEBIsと呼ばれる新しい統計量を用いたコズミックシア解析を行った。COSEBIsは完備直交したE/Bモードの積分量であり、複雑なサーベイ領域の形状をもつデータに対しても、EモードとBモードのシアーパターンを分離することができる。測光赤方偏移の不定性やintrinsic alignmentの影響などさまざまな系統誤差を考慮し、宇宙の構造の成長度合いを表すパラメータを測定した。得られた結果は、パワースペクトルや2点相関関数を使ったこれまでのものと矛盾はなく、結果の信頼性を高めるものであった。 また宇宙大規模構造の非ガウス情報を引き出す統計量の一つであるミンコフスキー汎関数の理論的な研究を行った。ミンコフスキー汎関数は構造のトロポジーや形状を定量化する統計量であり、高次の相関情報を含む統計量である。これまでガウス場による解析表式に加え、非ガウス性の1次のオーダー(3点統計量)の摂動表式が導出されていた(Matsubara 2003など)。今回、2次の非ガウス性(4点統計量)まで拡張した摂動表式を示した論文を共同で執筆した。N体シミュレーションによる3次元のダークマター分布から測定したミンコフスキー汎関数の測定と比較した結果、2次の摂動項まで含めたことでシミュレーションとの一致がよくなることがわかり、ミンコフスキー汎関数を使った精密な宇宙論解析を行ううえで有用であることを確かめた。
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