観測と理論モデルで整合が取れていないHI領域から観測されたX線天体や宇宙線の起源を明らかにするためには,そのX線生成量の見積が大変重要である.Thick Target モデルから高い精度を持つX線生成量の見積りには,低いエネルギー領域での高い精度をもつ水素原子中の阻止能の定量評価が必要である.理論モデルによれば,水素分子に比べて水素原子の阻止断面積は20%程度の増大が示されているものの,中性水素原子に対する信頼できる実験データは存在していない.本研究で目指す解離した中性水素原子に対する粒子ビームの阻止能を実験的に評価することはX線天文学,宇宙物理,原子物理において重要な意義をもつ.
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