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LHC実験が本格的に始まり8年が経過したにもかかわらず、素粒子の標準理論を超える物理事象の兆候は、観測されていない。そのため、LHCで観測できる新物理の寄与は非常に小さく、精密探索による探索の重要性が示唆されている。本研究は、標準理論では最も重く様々な模型で未知の粒子との強い結合が予測されるトップクォークをプローブとした新物理の兆候の探索を目標とした研究である。特にトップクォーク対の荷電非対称度の測定による探索を目標にしている。
2017度は、2016年までのLHC2データを実際に用い、トップクォーク対事象を用いた荷電非対称度測定の研究を中心に行った。a)２レプトン終状態に着目した事象選別の最適化、b)トップクォーク運動学再構成手法の最適化、c)アンフォールド法による分解能補正の最適化、d)新物理への感度の見積もりを行った。神戸大学・Birmingham大学からなる２レプトンの解析グループを構築し、また１レプトン終状態の解析を行うComenius大学、Mainz大学との合同グループも構築し解析の推進に努めた。
a)とb)では、Neutrino weighting法による再構成を導入し、さらに高い信号純度を得た。またc)では当初用いる予定だったIterative Bayesian法によるアンフォールドが機能しないことを突き止め、新たにFully Bayesian Unfold法という手法の有効性を検証しこちらを用いて解析を行う方針に決めた。d)では新物理のシミュレーションを自ら行い、感度を見積もった。
現在２レプトンでの物理解析はおおむね完了したが、異なる終状態（１レプトン終状態）を用いた解析との共同結果（コンビネーション）を得るためと、2017年末までのデータも含めるために、解析の見直しを行っている。2018年の9月の国際会議にて１レプトンとの共同結果の公表を目指している。
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