研究課題
2015年5月に実施した気球実験(GRAINE2015)で得られたガンマ線観測データの解析結果をまとめた。自動飛跡読取装置によって得られた搭載フィルム(標的部において約40平米)のスキャンデータの75%を用い、天頂角±45°以内に入射した全てのγ→e+e-イベントを対象に事象選出処理を実施した。10TBを超える1次データを順次解析していく処理体系を整備し、選出したγ線事象は約10^6イベントに達した。これは前実験(GRAINE2011)比で10000倍の統計である。得られたγ線データを使い、エマルション望遠鏡のフライト中のイメージング性能を検証するデモンストレーション解析を行なった。 観測時、望遠鏡の4.4m上方に固定されていた“放球プレート(アルミニウム, 4.6 kg)”は、気球高度(約37 km)において入射する宇宙線(陽子)と反応し、2次γ線を放出するため、プレート方向からのγ線を利用することで望遠鏡の結像性能や検出性能のキャリブレーションを行える。100-300MeVのエネルギー帯域で結像した放球プレートのγ線イメージは、角度分解能(1° @100 MeV)から期待される広がりを示しており、エマルション望遠鏡がかつてない優れた結像性能を持つことをフライトデータによって実証した。またこの成果は、エマルション望遠鏡の口径面積拡大によって得られた結果であり、GRAINEが目指す大面積観測が実現可能であることを示す重要な実績となった。これらの成果は論文にまとめ、Progress of Theoretical and Experimental Physicsに受理された。
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Progress of Theoretical and Experimental Physics
巻: publishing ページ: publishing
10.1093/ptep/pty056
EPJ Web of Conferences
巻: 145 ページ: 06002
10.1051/epjconf/201714506002
巻: 145 ページ: 19020
10.1051/epjconf/201714519020