研究課題/領域番号 |
16K17697
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
津村 浩二 京都大学, 理学研究科, 助教 (40648101)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ヒッグスボソン / 電弱対称性の破れ |
研究実績の概要 |
ヒッグスボソンの自己相互作用の検証は、素粒子標準模型の電弱対称性の破れの起源を探るために重要となる。そして、標準模型のスカラーポテンシャルは真空期待値とヒッグス質量で完全に決まるが、3つめのパラメタを測ることでその直接的な検証ともなる。LHC実験はエネルギーを13TeVに上げた結果を次々と報告しているが、標準模型を用いて断面積等を素朴に評価すると期待されるように、ヒッグス自己結合の検証には到底及んでいない。現在の検証は大きな新物理効果がある場合のみの検証が行われていると言って良い。その他のヒッグス結合の検証は着実に進んでおり、自己結合の検証の重要度は増していると言える。本研究では、ヒッグス対生成のみならず、ヒッグス1個の生成に対する非相対論効果や高次補正などを通じたヒッグス自己結合の検証を検討している。特に対称性で強く制限されていないヒッグス自己結合は、大きな輻射補正を受けることがある。またそれらの結合の副次効果でその他の過程に大きな補正が出る可能性を検討した。しかしながら、これまでに得られている結果では実験で観測できるほど大きな効果は得られていないが、より詳細な計算とより幅広い過程の検討を続けている。さらに、ヒッグスプロージョンと呼ばれるヒッグス多重生成の可能性を検討し、その原理検証が他のパイオンやアクシオンなど他の物理から検証される可能性についても検討している。また、近年新しく提案された原理にもとづくこれまでに検討されていないヒッグス対生成についても研究を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コライダーによる直接検証は予想されたズレが期待より小さいため、より詳細な研究が必要となって時間を要している一方で、新しい過程に注目するなどしてヒッグス自己結合の測定に向けた研究を続けている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒッグスプロージョンと呼ばれるヒッグス多重生成過程のさらなる検討とその原理検証方法の確立を考えている。またこれまでに議論されてこなかった新しいヒッグス対生成の研究を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた成果発表と研究打合せを翌年度に振り替えたため次年度使用額が生じた。予定通り成果発表と研究打合せで使用予定である。
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