ヒッグスボソンの自己結合定数の測定は、素粒子標準模型における電弱対称性の破れの起源を探るために重要となる。標準模型のヒッグスポテンシャルは既に測られている量から計算される真空期待値とヒッグス質量により完全に決まるため、3つ目のパラメタを図ることで、新物理の効果が捉えられる可能性がある。LHC実験はヒッグスボソンの精密測定に向けて着実に統計量を増やしているため、その結果の段階的な公表を待っている状況である。自己結合の測定については今なおいろいろな解析モードに挑戦している段階であり、その検証への筋道は確立していない。現在までの方法では、特別大きな新物理効果がある場合にのみ検証可能であるという状況であり、自己結合の検証方法の確率の重要度は増している。本研究では、ヒッグス対生成への輻射補正の効果や、ヒッグス1個の生成に対する高次補正に注目して、自己結合の検証方法を検討している。最近になって、光学定理に基づいた分散関係を使うことでヒッグス自己結合の情報を取り出す新しい方法が、統計量が充分でないことが分かっているため、解決策を検討している。また対称性から強い制限を受けないヒッグス自己結合は、大きな輻射補正を受けることがある。そこで、スケール不変な理論に基づくヒッグス自己結合に対する輻射補正の効果を調べている。このような理論では摂動の最低次ではヒッグス結合が標準模型の値から普遍的にズレるが、輻射補正の効果を見ればその背後の理論をも区別出来る可能性がある。
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