研究実績の概要 |
素粒子、原子核実験分野で広く使われている、高エネルギーガンマ線検出器の電磁カロリメタを新たに開発する。特に高レートの実験に対応できるよう早い時間応答の良い物として、最近開発されたGd3Al2Ga3O12(Ce) 結晶 (GAGG 結晶) の開発を進める。 2016年度の達成目標として、1) 長い結晶の製作を依頼し、光量の一様性、透過率など基礎的な性能評価を行う。2) Mg添加物の量を変えた物について、どこまで発光時定数を小さくする事ができるか、またその時の光量を明らかにする。以上の2点を挙げた。 まずは直径2インチ、長さ10 cmの世界初の大型GAGG結晶が製作済みであったので、その性能評価を行った。結果、光電子増倍管の読み出しにおいて、今まで製作していた5 mm角の小さな結晶に対して、1/6程度の光量が得られることがわかった。現在反射、透過率の観点からこの値が理解できるか調査中である。また、光量の長さ方向の位置依存性を調べてみると、10 cmの両端で25%程度の光量差があることがわかった。以上のことは、日本物理学会2016年秋季大会での講演、J-PARCで行われた国際会議HINT2016のポスター発表として、研究室の学生である西宮が報告している。結晶を製作していただいたC&Aコーポレーションと議論し、改善を行った同じ大きさの結晶を2016年度末までに製作した。現在光量、位置依存性の測定を始めている。 また、Mg添加量を変化させた結晶について。0, 0.1, 0.2, 0.5, 1.0 %混ぜた結晶の製作を依頼した。こちらは厚さ1 mm程度の小さな結晶であるが、光電子増倍管での読み出しでCs線源の662 keVピークを測定でき、この測定を元に各濃度間での光量、時定数の比較を行っている。
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