研究課題
若手研究(B)
中性子星連星の合体の一般相対論的シミュレーションを行い、合体のダイナミクスおよび合体後に形成される系の進化を明らかにするとともに、放出される物質の総量、熱力学的・化学的特性を定量的に評価した。得られたシミュレーションデータに基づく元素合成計算を行い、中性子星連星の合体において生成される重元素の組成を明らかにした。その結果、中性子星連星の合体は宇宙における重元素の有望な起源天体であることが分かった。
宇宙物理学
1950年代の理論的研究の後、約半世紀にわたって、宇宙における重元素の起源天体は超新星爆発であると考えられてきた。2000年代に超新星爆発の研究が進み、超新星爆発では重元素を効率的に生成することが難しいことが明らかとなり、代わって注目をされたのが中性子星連星の合体である。本研究結果は、重元素の起源が中性子星連星の合体であるとするこの仮設を強く支持するものである。今後のさらなる研究によって、半世紀以上にわたるこの謎に決着がつく可能性がある。