本研究は計画の段階では、「Equilateral型の非ガウス性に対する大規模構造からの制限(課題1)」、「CMBに含まれる振動的微細構造と微分結合を含むインフ レーションモデル(課題2)」、微分結合を含むインフレーションモデルからビッグバン宇宙への移行(課題3)」、「ホルンデスキ重力理論の拡張に基づく暗黒エ ネルギー(課題4)」を具体的なテーマとしていたが、課題1と課題4については初年度に計画達成の目処が立ち、課題2、3の微分結合項に関連しているイ ンフレーションモデルの研究については昨年度に密度揺らぎのスペクトルにおける振動的微細構造を説明する微分結合項による量子もつれを伴う インフレーションモデルが得られること、重力子がインフレーション中には質量もち、現在までにその質量がなくなるという単純なシナリオにおいて、原始重力波が近い将来に検出される可能性があること等の予備的結果が得られていた。そのため、今年度はそれらの成果について``Quantum Entanglement in multi-field inflation"、``Blue-tilted Primordial Gravitational Waves from Massive gravity"と論文を学術雑誌に掲載し、それを日本物理学会やCOSMO18といった国内、国外の研究会で積極的に発表した。また、最近超弦理論と宇宙論を関係づけるものとして注目されているαアトラクターモデルというモデルについても複数場モデルへの拡張においては微分結合が重要な役割を果たすことを示した論文``α-attractor-type Double inflation"の論文も学術雑誌に掲載した。
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