研究課題
古典,量子開放系における自発的対称性の破れの一般論を展開した.特に内部対称性が自発的に破れた場合に現れる南部ゴールドストン(NG)モードについて解析を行なった.Ward-Takahashi恒等式を開放系の問題に適用することでNGモードの分散関係を決定する係数を非摂動的に導出することができた.その結果,我々が模型の解析結果から予言していたNGモードの分類方法は,一般には成り立たないことがわかった.詳細な解析により開放系における内部対称性の自発的の破れにともなうNGモードはTpye-A伝搬,Tpye-A拡散,Tpye-B伝搬,Tpye-B拡散の4種類に分類されることがわかった.これらは孤立系で知られていた分類を含む形で拡張されている.本研究の枠組みはかなり広いクラスの物理系の問題に適用できる強力な定理になっていると言える.また,ボソン-フェルミオン混合気体における超対称性の自発的破れにともなうNGフェルミオンについての解析も行なった.現実の系で厳密に超対称性を実現することは難しく,超対称性の陽な破れがどのように物理量,特にエネルギーギャップに反映するか理解することは重要である.超対称性は,相互作用,化学ポテンシャル,フェルミオンとボソンの質量の違いによって陽に破れている.本研究では,メモリー関数法と呼ばれる手法を用いて超対称性の陽な破れとエネルギーギャップの間の関係(ギャップ公式)を非摂動的に導出することができた.具体的な模型を用いて実験で実現されうるセットアップで数値計算を行いギャップ公式が成り立つことを確かめ,NGフェルミオンがどのような観測量に反映するか議論した.
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Progress of Theoretical and Experimental Physics,
巻: 2020 ページ: 033A01-30
10.1093/ptep/ptaa005