我々はレーザーによる強磁性体の磁化反転機構の解明を試みた。実験手法として、シンクロトロン放射X線とX線自由電子レーザー(XFEL)による時間分解型のX線分光を用いた。主に測定したのはX線磁気円二色性(XMCD)である。日本のXFEL施設SACLAのビームラインBL3での時間分解XMCD測定を行った。800 nmのチタンサファイアレーザーをポンプ光として室温強磁性体の合金薄膜FePtに照射し、PtのL端での時間分解XMCD測定に成功した。磁化の消える時間スケールが1ps程度であり、Feサイトより長いことが分かった。このような元素別のスピンダイナミクスは時間分解XMCDで初めて明らかになった。
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