半導体表面に成長する原子層物質において、ラシュバ効果によるバンドのスピン分裂を伴いかつ超伝導が発現しているような「ラシュバ超伝導体」を見つけ、その物性を明らかにする目的で研究を行った。インジウム原子層超伝導体 Si(111)-(√7×√3)-In の面直・面内磁場中電気抵抗測定から、面内磁場に対する臨界磁場は、この物質の臨界温度(3 K)に対応するパウリ極限(6 T)を超えると見積もられた。第一原理計算から、エネルギーバンドがスピン分裂していることが示され、この物質がラシュバ超伝導体であるために臨界磁場が増大していることが分かった。
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