研究課題
前年度までに顕著な磁気誘電効果を示すことが明らかになったルテニウム化合物に関して,その詳細を明らかにするため赤外吸収スペクトルの測定を行なった.遠赤外から中赤外領域の吸収スペクトルの結晶方位依存性および温度依存性の詳細を明らかにした.磁気誘電効果および赤外吸収実験に関してそれぞれ論文を出版した.磁気誘電効果の起源を明らかにするためにパルス強磁場中のESR実験を行なった.ダイヤモンドアンビルセルを用いた高圧下測定を行うための測定系の構築を行い,予備実験を行うことで20 GPaまでの圧力の発生,電気抵抗などの測定が可能であることを確認した.クライオスタットへの導入が可能であるため,低温高圧強磁場環境での物性測定が可能になった.イリジウムを含むフラストレート磁性体の単結晶育成をおこない,X線結晶構造解析・磁気抵抗効果・比熱の測定を行い,半金属的な伝導特性を示すこと・低温に磁気転移が存在すること・磁気転移温度以下で特異な磁気抵抗効果を示すことを明らかにした.圧力下においても測定を進め,低温の磁気転移付近の電気抵抗率の変化の圧力依存性を測定し学会にて詳細を報告した.今後は高圧低温における磁気抵抗効果の測定に展開する.磁気誘起極性伝導体候補物質に関して試料の合成・光の第二高調波実験を進め結果に関して学会に報告した.同物質に関して異方的磁気抵抗効果の測定を行い,軌道秩序の可能性を学会にて報告した.
2: おおむね順調に進展している
前年度までに得られた磁気誘電効果の結果を論文出版するとともに,赤外吸収実験を新たに行い結果を論文投稿・出版した.前年度の課題であった高圧下基礎物性測定系の立ち上げが完了した.磁気誘起極性伝導体の合成および光の第二高調波実験を行い学会で口頭発表を行った.
磁気誘起極性伝導体の測定結果を論文にまとめる.光の領域の結果をもとにDC領域の周波数での非線形伝導に拡張する.新規フラストレート格子イリジウム酸化物の磁気抵抗測定の結果を論文にまとめる.
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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