研究実績の概要 |
直交する電場磁場中の水素原子において反応座標スイッチングを検出するための実験条件の検討を行った。昨年度、Phys. Rev. Lett.115, 093003 (2015)で理論的に検出可能性を議論した際には、磁場の強度を2Tとしていたが実験がより容易となるように10Gと100Gでの実験条件で反応座標スイッチングが先の結果とどのように異なるのかを検討した。2Tだと超電導磁石のような大掛かりな機器が必要となるが、100G程度であればヘルムホルツコイルを用いることで、広域に均一な磁場を生じさせることが比較的容易となる。また、系の実効的なプランク定数は磁場の3乗に比例するため、実効プランク定数が小さくなることは、系を古典力学又は半古典力学でモデル化する際のモデル化の近似精度が高くなると期待されるので、その点でも今回の検証実験には望ましい。
また、その実験条件で反応座標スイッチングを検出するためには、Phys. Rev. Lett.115, 093003 (2015)で報告したように、反応座標スイッチング前と後のエネルギーで水素原子からイオン化する電子の飛んでいく方向を検出する必要がある。その検出のために、反応座標スイッチング前のエネルギーにおける電子のイオン化の方向とスイッチング後のイオン化の方向二か所に電子の検出器を配置する設定を検討した。実験的に利用可能な検出器は円型の直径25mm - 120mmのサイズのものがあり、どの大きさの検出器をどの位置に配置するとスイッチングが明確にとらえられるのかを数値シミュレーションで検討した。
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