本研究課題では試料気体を1000Kまで加熱できる高温ガスノズルを開発し、高分解能半球型電子分光器に組み合わせることで、振動励起した分子に対する光電子分光法を開発した。新しい実験手法の評価として、CO2分子を対象にし、室温および900Kで光電子スペクトルを計測した。その結果、室温の振動基底状態では、光イオン化に伴って対称振動励起に由来するバンド構造が観測されたが、900Kまで加熱し変角振動励起したCO2分子では、光イオン化によって変角振動励起に由来するバンド構造が観測された。このことは、変角振動励起によってCO2分子の構造が直線分子から非直線分子に構造変化したことを反映していると考えられる。
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