発生の初期過程において、球状の胚が体軸を決定する過程は極めて重要である。この体軸の決定という「対称性の破れ」を、発生過程のモデル実験系の一つであるヒドラに着目し、非平衡形状揺らぎの全モード解析を行った。 研究成果として、①初期条件の異なるヒドラ切片と単離細胞を再凝集した塊の再生過程における形状揺らぎの全モード解析を行い、どちらの条件でもモード0(平均サイズ)と2(軸方向伸縮)が逆位相になるという共通点を突き止め、これを「対称性の破れ」と定義し、②体軸形成に重要であるWntシグナル経路の促進・抑制によって、対称性の破れだけでなく、再生速度や初期口の生成が著しく変化することを定量的に明らかにした。
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