本研究の目的は、月の地殻の非対称性の起源を明らかにすることである。Fe/Mg比(Mg#)は経度で異なる。 鉄の原始マグマオーシャンの結晶時の液相分留が、月の地殻の非対称結晶化の原因であるかを検証した。 非対称性は、月の軌道が近接していた時期の初期地球上のマグマオーシャンの影響による可能性があった。 この影響を考慮にいれ、月の各半球の地殻成長速度を推計し、経度によるMg#を予測した。 さらに、衛星観測データから得られる地殻上層部の混合を再現すべく、月の成長初期の地殻混合度を与える海盆影響モデルを構築した。 本研究によりMg#の経度による多様性を説明できることを示した。
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