研究課題
平成28年度に引き続き、平成29年度には直接観測では検出不可能なキロメートルサイズ(半径1- 10 km)の太陽系外縁天体(TNO)の個数密度に観測的制約を与えることを目指して、 小型で広視野な高速可視観測システム計2台を用いた掩蔽同時モニタ観測を沖縄県宮古島市にて実施した。平成28年度に開発した広視野高速観測システム2台を研究協力施設である『沖縄県立宮古青少年の家』(沖縄県宮古島市)の施設屋上に配置し、平成29年6月から8月にかけて恒星掩蔽現象の同時検出を目的としたモニタ観測を断続的に実施した。さらに本研究では平成28年度までに開発した解析プログラムを用いて、観測データ内の恒星に対して開口測光を実施し、カイパ ーベルト領域に存在するキロメートルサイズ以上のTNOによる恒星掩蔽現象を捜索した。現在までに2台同時観測によって得られた観測データのうち、約40時間分のデータの解析が終了している。さらに回折理論を用いてカイパーベルト天体による恒星掩蔽で予想されるモデル光度曲線の作成プログラムを開発し、得られた光度曲線データに埋め込んだ上で検出プログラムを実行することで、観測によって得られたデータ内から掩蔽現象を検出できる確率に相当する検出効率の算出を実施した。以上の観測およびデータ解析の結果、キロメートルサイズのカイパーベルト天体の天球上での個数密度について前例のない観測的制約を得ることに成功した。以上の研究成果をまとめた論文を作成した。現在、作成した論文は投稿準備中である。
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Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 69 ページ: issue 4, 13pp.
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The Astrophysical Journal
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