衛星SARデータの解析により、2015年箱根山・大涌谷で発生した小規模な水蒸気噴火に先行する膨張性地殻変動を捉えた。地殻変動は、遅くとも噴火の約半年前から大涌谷内の直径200m程度の狭い範囲で進行し、噴火の約2ヶ月前から加速した。その後、変動域のごく近傍で噴火が開始した。こうした観測結果を基に、局所的地殻変動が発生する機構について、箱根山の深部マグマ供給システムを考慮して地熱環境の時空間発展を数値計算により調べたところ、大涌谷浅部における火道閉塞が、地下浅部に熱や圧力を蓄積し、局所的な前駆的地殻変動を生じる要因となり得ることを示した。
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