海洋の観測データを用いて解析を行い,南太平洋の亜表層の等ポテンシャル密度面上を中緯度域から熱帯域へと伝播する水温・塩分変動の経路として,北東部から赤道へ流れる経路と,中央部の高塩分領域から沈み込み西岸域へ向かう経路の2か所があることを明らかにした.またこの伝播経路が2か所存在する理由として,南緯10度付近を東向きに流れる海流である南赤道反流が,沈み込みこんだ海水を分岐させることを明らかにした.すなわち,南赤道反流が熱帯域へと伝播する水温・塩分偏差が,内部経路を通るか西岸境界域を経由するかを分ける重要な役割を果たしている.
|