研究課題/領域番号 |
16K17802
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
時長 宏樹 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (80421890)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 北極温暖化 / 気候変動 / 太平洋数十年規模変動 / 大西洋数十年規模変動 / 大気海洋相互作用 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、熱帯および中高緯度海面水温変動が引き起こす遠隔強制効果に着目し、20世紀前半に起こった北極域温暖化の要因を解明することである。具体的な研究目的は、(1) 20世紀前半の北極域温暖化と物理的に整合する海面水温変動パターンおよび北半球大気循環変動パターンを特定すること、(2) 数十年規模変動をより忠実に表現した海面水温データセットと大気大循環モデルを用いて20世紀前半における北極域温暖化の再現すること、(3) 北極域温暖化に対する強制源を特定し、 熱帯および中高緯度海洋からの遠隔強制効果の影響を評価することの3点である。平成28年度は、歴史的気候データセットの統計解析によって、20世紀前半に観測された陸上気温、海面水温、海面気圧、海上風、陸上降水など複数の変数を解析し、20世紀前半の北極圏温暖化に伴う気候変動パターンを抽出した。さらに、大気大循環モデルNOAA/GFDL AM2.1と最新の海面水温データセットを用いて、20世紀前半における北極圏温暖化の再現実験を行った結果、太平洋および大西洋における数十年規模変動の効果をモデルに取り入れた場合に再現性が向上することが分かった。また、熱帯と中高緯度における海面水温変動はそれぞれ異なる大気循環変化を引き起こし、それら双方とも重要であることが分かった。外部強制を変化させない気候モデルにおいても同様な変動が存在することを明らかにした。これらの成果を学会等で発表し、査読付論文として投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究は概ね計画通り実施することができた。データ解析や大気大循環モデルを用いた数値実験により、20世紀前半における北極域温暖化の要因に関して幾つかの重要な知見を得た。これらの研究成果を学会等で発表し、査読付論文を投稿したことから、概ね順調に研究が進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は概ね順調に進んでおり、基本的には当初の計画通り研究を実施する。さらに平成29年度は第5次結合モデル相互比較プロジェクトの気候シミュレーション結果を解析することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況を考慮して予定していた海外出張を見送ったこと、および見込んでいた論文掲載が次年度に持ち越されたことによって次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
モデル出力結果を整備するため追加の大容量記憶装置とデータサーバ購入に使用する予定である。また、学会参加や研究打ち合わせのための国内・海外旅費、論文掲載に関わる費用、追加実験のための大型計算機使用料、データ解析や結果の可視化に関わるソフトウェア導入費が必要になる見込みである。
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