本研究は、20世紀前半に起こった北極域温暖化の要因を解明することを目的とした。研究手法は、(1)大気海洋の歴史的観測データセットを用いた統計解析、(2)大気大循環モデルを用いた数値実験、および(3) CMIP5 の計37個の大気海洋結合モデルによる長期コントロール実験を用いた統計解析である。その結果、太平洋数十年規模振動と大西洋数十年規模振動が共に負から正へと位相変化したのに伴い, アリューシャン低気圧とユーラシア大陸北部における西風が強化されることが分かった。これらの大気循環の変化により北アメリカとユーラシア大陸の高緯度帯において暖気移流が強化され、北極圏全体が温暖化することを突き止めた。
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