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2016 年度 実施状況報告書

晶癖予測モデルを用いた北極混合相層状雲の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K17803
研究機関九州大学

研究代表者

端野 典平  九州大学, 応用力学研究所, 助教 (10766520)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード氷晶核形成過程 / 北極の雲降水 / 晶癖予測雲微物理スキーム / LES
研究実績の概要

まず、晶癖予測雲微物理スキームと力学モデルを本研究所のスーパーコンピュータ用に高速化した。そして2次元および3次元の高解像度実験(LES)を、2つの事例(SHEBAとISDAC)について行い、雲降水現象を再現した。SHEBAの再現実験では、観測された晶癖(不規則結晶や板状多結晶、六角平板)を定性的に再現できていることがわかった。雲粒数密度が再現できている結果で、かつ、雲水が凍結する過程を利用したものは、雲レーダの統計とよく一致する結果となった。しかし昇華凝結凍結過程を用いるとレーダ反射因子を過大評価した。これら凍結過程が活発になる領域が異なる温度帯にあること及び形成時の大きさが、その後の昇華成長に影響して、粒径の違いにつながることがわかった。ライダーの比較には予測された六角平板を、シグナル計算に用いると、良い一致が得られたが、散乱モデルで仮定している軸比との違いが問題として残る。もう一つの事例(ISDAC)に関しても、観測された晶癖(樹枝状結晶およびその雪片)を予測することができた。ただし、昇華凝結凍結過程のスキームを用いた。SHEBAに用いた雲水が凍結する過程を用いると氷晶はほとんど形成されなかった。これは2つの事例で雲の存在する温度領域が違うことが大きな要因である。また、仮定した氷晶核の特性および氷晶核形成スキームに問題がある可能性がある。本研究で用いてきた氷晶形成過程のスキームには、ヘイズが凍結する過程を考慮していなかった。文献に基づき、古典核形成理論のアプローチを用いたスキームを導入し、この過程を取り入れた。その後、パーセルモデルと2次元LESにてテストを行った。これにより、氷晶核形成の異なる過程やスキームの違いについて、議論できるようになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度に予定していた内容について、ほぼ実行することができた。

今後の研究の推進方策

今後は、昨年度の2事例について、雲レーダドップラー速度分布の観測を用いて再現実験の検証する。そして、導入した氷晶核形成スキームを用いて雲水凍結過程の重要性を検証する。晶癖と核形成モードの関係、及びモードの観測可能性について議論する予定である。その後、昨年度の2事例とは極を挟んで反対に位置するNy-Alesundにおける混合相雲を対象として研究を行う。雲レーダとライダ観測、山頂でのエアロゾルと雲降水粒子の直接観測を手がかりに、再現実験に相応しい事例を選択し実験設定を構築する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初は、アメリカの研究協力者と、私が渡米して研究の打ち合わせを行う予定であったが、予算が不足したので次年度に見送った。

次年度使用額の使用計画

アメリカの研究協力者を本研究所に招く旅費に用いる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Evaluation of Arctic mixed-phase clouds simulated by a habit-prediction model2016

    • 著者名/発表者名
      Tempei Hashino, Gijs de Boer, Hajime Okamoto, and Gregory J. Tripoli
    • 学会等名
      American Geophysical Union
    • 発表場所
      San Francisco, USA
    • 年月日
      2016-12-12 – 2016-12-12
    • 国際学会
  • [学会発表] 晶癖予測モデルにより再現される北極混合相層雲の評価2016

    • 著者名/発表者名
      端野典平、Gijs de Boer、岡本創
    • 学会等名
      日本気象学会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-26

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公開日: 2018-01-16  

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