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2016 年度 実施状況報告書

宇宙望遠鏡と探査機の連携観測による回転磁気圏のエネルギー解放・輸送過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K17812
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

木村 智樹  国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 基礎科学特別研究員 (50578804)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード木星 / 磁気圏 / エネルギー輸送 / オーロラ / プラズマ
研究実績の概要

本研究では、数10MeVに至る高エネルギー粒子加速を駆動する、木星磁気圏の電磁エネルギー解放・輸送過程の解明を最終目的とする。研究代表者は、惑星分光観測衛星「ひさき」とハッブル宇宙望遠鏡による連携観測を初めて実施し、木星の高速自転と衛星イオのプラズマ供給が自励的に駆動する、内部駆動形の突発的オーロラ加速を発見した。本研究では、2016年に観測開始する木星極域探査機Junoを新たに加え、世界初の遠隔-極域その場同時連携観測から、内部駆動型の粒子加速で鍵となる①自励的エネルギー解放と、②木星近傍へのエネルギー輸送過程を解明し、内部駆動形粒子加速の存在を実証する。

実施計画に則り、平成28度はひさきの観測に基づき、自励的エネルギー解放の素過程と見られる、磁気再結合の発生と、それを制御しうるイオからの質量供給の定量的関連付けを試みた。イオで大規模な火山活動が発生していた時期に、6ヶ月以上に渡り実施した、木星オーロラの長期連続監視から、突発的オーロラを約50例同定した。イオから供給されるプラズマが最も濃密に滞留する、イオプラズマトーラスの紫外線発光を同時に監視することで、イオからのプラズマ供給率の見積もりを試みた。この見積もりに際して、プラズマトーラス中の交換型不安定等を仮定し、紫外線発光から、プラズマ供給率を定量的に導出する解析モデルを開発した。

このモデルによって見積もったプラズマ供給率と、オーロラ突発増光の出現頻度を比較した結果、イオから供給されるプラズマ質量の累積が、木星磁気圏の総質量に到達した時、初めて突発増光が頻発することが明らかになった。これは、仮に突発増光が磁気再結合に対応すると仮定すると、それらが発生するためには、定常状態の磁気圏に対して有意な「質量超過」が必要であることを示唆している。この結果は現在国際誌への投稿に向けて論文を準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画に則り内容を達成できたため。

今後の研究の推進方策

今後は、2016年5月―8月に実施した、ひさき-ハッブル宇宙望遠鏡-Juno探査機の三者連携観測や、それ以降に実施している、Junoの極域その場観測などの多様なデータを統合し、自励的エネルギー解放や、磁気圏内の巨視的なエネルギー輸送の素過程を明らかにしていく予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)

  • [国際共同研究] コロラド大学ボルダー校/ジョンズホプキンス大学応用物理研究所/アラスカ大学フェアバンクス校(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      コロラド大学ボルダー校/ジョンズホプキンス大学応用物理研究所/アラスカ大学フェアバンクス校
  • [国際共同研究] ランカスター大学/レスター大学(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      ランカスター大学/レスター大学
  • [国際共同研究] リエージュ大学(ベルギー)

    • 国名
      ベルギー
    • 外国機関名
      リエージュ大学
  • [学会発表] Response of tail reconnection and energetic event to plasma mass loading monitored by Hisaki2017

    • 著者名/発表者名
      Tomoki Kimura, Kazuo Yoshioka, Fuminori Tsuchiya, Yasutaka Hiraki, Chihiro Tao, Go Murakami, Atsushi Yamazaki, Masaki Fujimoto, Sarah Victoria Badman, Peter A Delamere, Fran Bagenal
    • 学会等名
      NASA Participating Scientist Program meeting for Hisaki/EXCEED
    • 発表場所
      米国コロラド州ボウルダー
    • 年月日
      2017-01-25 – 2017-01-25
    • 国際学会
  • [学会発表] Response of Jupiter's Aurora to Plasma Mass Loading Rate Monitored by the Hisaki Satellite During Io’s Volcanic Event2016

    • 著者名/発表者名
      Tomoki Kimura, Kazuo Yoshioka, Fuminori Tsuchiya, Yasutaka Hiraki, Chihiro Tao, Go Murakami, Atsushi Yamazaki, Masaki Fujimoto, Sarah Victoria Badman, Peter A Delamere, Fran Bagenal
    • 学会等名
      AGU Fall meeting 2016
    • 発表場所
      米国サンフランシスコ
    • 年月日
      2016-12-12 – 2016-12-12
    • 国際学会
  • [学会発表] ひさき衛星によるオーロラとプラズマ供給率の連続監視で明らかにする木星サブストームライクイベントの動力学2016

    • 著者名/発表者名
      木村 智樹, 吉岡 和夫, 土屋 史紀, 平木 康隆,垰 千尋, 北 元, 村上 豪, 山崎 敦, 藤本 正樹
    • 学会等名
      地球電磁気・地球惑星圏学会 第 138 回総会・講演会
    • 発表場所
      九州大学伊都キャンパス(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2016-11-21 – 2016-11-21
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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