研究課題
金星に存在する雲や紫外模様を形成する未知吸収物質は惑星全体の熱入力を支配しており,雲層構造や未知吸収物質の時空間変動の把握は,気候システムの理解に必要な基礎情報となる.本研究課題では,「あかつき」が取得している紫外から中間赤外にわたる撮像データと地上望遠鏡による連携観測データを用いて,金星の雲頂構造と紫外線模様起源の解明を目的としている.当該年度は下記に示す事柄について研究を行った.「あかつき」搭載2ミクロンカメラ(IR2)の昼面画像を用いた金星雲頂構造の推定二酸化炭素吸収帯における反射太陽光強度を観測したIR2の2.02ミクロン画像(2016年4月4日-5月25日)を用いて,放射伝達計算に基づき雲頂高度を導出する手法を考案した.雲頂は,低中緯度では比較的一様で高度70kmに位置するが,緯度45度付近を境に下降し両極域では63km付近に存在するという結果を得た.また低中緯度に広がる紫外模様に類似した微細構造の明暗は雲頂高低差で約100m程度しかないことを突き止めた.「あかつき」搭載2ミクロンカメラ(IR2)の昼面画像を用いた金星雲頂における定在構造の特徴雲頂高度を可視化するIR2の2.02ミクロン画像を用いて(スーパーローテーションに流されない)雲頂における定在構造を昨年度に引き続き調べた.IR2の全観測期間(2015年12月11日-2016年12月9日)で54例の定在構造を発見し,中間赤外カメラ(LIR)が発見した惑星規模の定在構造(Fukuhara et al., 2017; Kouyama et al., 2018)同様地形起源であることが分かった.一方で,より低高度の情報を有するIR2の1.73, 2.26, 2.32ミクロン画像には定在構造は存在しておらず,定在構造を引き起こす大気重力波の特性を反映していると考えられる.
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 7件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)
Earth, Planets and Space
巻: 70 ページ: -
10.1186/s40623-017-0773-5
10.1186/s40623-017-0772-6
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The Astronomical Journal
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10.1038/ngeo3016
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10.1186/s40623-017-0722-3
10.1186/s40623-017-0727-y
10.1186/s40623-017-0736-x
10.1186/s40623-017-0749-5
Geophysical Research Letters
巻: 44 ページ: 12,098~12,105
doi.org/10.1002/2017GL075792