研究課題
平成30年度は南海トラフ軸における微小断層の詳細な分布を明らかにし,統一のモデルを作成した上で砂箱によるアナログ実験の結果と比較することで形成過程の解明をすることが目的である.まず平成28・29年度に作成・編集してきた地形データで不足していた日向灘周辺のデータが新たに使用可能となったため,従来の地形データと合わせて統合地形データを作成した.また合わせて取得された日向灘における反射法地震探査データからプロトスラスト帯を解釈し,豊後水道から日向灘域には発達しないことが明らかになり,九州パラオ海嶺の衝突・沈み込みが大きく影響していることが想定される.さらにデータベースソフトに登録した断面データを用い,海底面および沈み込みプレート上面,四国海盆中の反射面に分類し,解釈を行い,空間マッピングを追加で行った.得られた結果からこれまで研究してきた四国沖に比べて日向灘ではトラフ軸に沿った強い構造不均質の存在が明らかになった.そのため断層を再現するアナログ実験についてはモデルが想定していたより複雑なため,本研究でモデルの単純化を行う代わりに,既存のアナログ実験のデータから沈み込むプレート形状が異なるものを用いて断層形成過程について比較検討を行った.その結果,プレート境界断層先端部に段差のある基盤構造がある場合,実際の構造とアナログ実験の両方で基盤上の堆積物の層厚が厚いことが明らかになり,トラフ軸における堆積物の供給量が断層形成に大きく影響していることが示唆された.また将来的な前縁断層の拡がりについては四国沖では海側に発達する可能性があるものの,豊後水道より西側にかけては新たな微小断層の発達は見られず,津波波源ポテンシャルを持つ連続する断層面は認められなかった.
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Oceans 2018
巻: 2018 ページ: 1-4
Proceedings of the 13th SEGJ International Symposium, 2018
巻: 2018 ページ: 1-3