研究課題
本研究課題では、アフリカ・ガボン共和国フランスヴィル地域における前期原生代堆積層 (約22億年前) の地質調査により、真核生物コロニーと解釈される化石が出現した場所を特定し、その場所の造構場および地球化学的な特徴を調べることにより、生物進化に必要な条件の解明に取り組んでいる。2016年度に引き続き2017年度にも、ガボン南西部に位置するフランスヴィル堆積盆地において地質調査を行った。フランスヴィル、ラストゥールヴィル、オコンジャ地域における計6セクションの露頭を観察し、詳細層序・地質図の記載を行い、計170個の岩石試料を採取した。さらに、陸上掘削試料採取に適した地点の選定を行った。採取した岩石試料のうち、炭酸塩堆積場のラストゥールヴィル地域と砂泥堆積場のフランスヴィル地域の堆積岩累計140試料について、有機炭素窒素同位体比を測定した。同位体比層序の対比の結果、両地域は同時異相の関係にあり、有意な微生物活動の違いがある事が明らかになった。
3: やや遅れている
採取した岩石試料を用いて、炭素窒素同位体比層序の分析を行い、その結果を学会 (日本地球惑星科学連合大会、日本地質学会、The Geological Society of America Annual Meeting、ELSI International Symposium) において発表した。炭素窒素同位体比層序を用いた環境変動解読についての論文を公表準備中である (Sato et al., in prep)。一方、化石について新たに得られた成果は、Edou-Minko et al. (2017, J. Geol. Geophys.) として、天然原子炉に関する新たな知見は、澤木ほか (地学雑誌, 印刷中) として公表した。2018年1月には、ガボンの共同研究者であるAmbroise Edou-Minko教授、Mathieu Moussavou教授、Cedric Ligna氏、Karen Bakakas氏、Stevy Retonda氏の5名を招聘し、分析・データの考察および2018年度に繰越した陸上掘削計画の打ち合わせを行った。
2018年7月にガボンでの再地質調査および陸上掘削試料採取を計画している。とくに、地層の露出が乏しいオコンジャ地域においては、これまで層序が十分に検討されて来なかったが、本研究課題での陸上掘削試料により初めて連続的な同位体層序が明らかになると期待される。その分析結果を、既に結果を得たフランスヴィル、ラストゥールヴィル地域と対比する事により、前期原生代ガボン生物の出現における造構場・環境条件の特定を行う。
ガボンにおける前期原生代の環境変動の解読には、連続的な陸上掘削試料が不可欠である。2017年7月の現地地質調査時に、ガボンの共同研究者および現地掘削業者との交渉を行ったが、その後現地掘削業者との連絡・交渉が難航したため、2017年度に掘削を行うことが出来なかった。そこで、2018年7月に、現地での再地質調査および陸上掘削試料採取を行う事になった。その費用に充てる。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
地学雑誌
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
International Journal of Geosciences
巻: 08 ページ: 1172~1191
10.4236/ijg.2017.89067
Tectonophysics
巻: 706-707 ページ: 164~195
10.1016/j.tecto.2017.03.017
Scientific Reports
巻: 7 ページ: -
10.1038/s41598-017-15089-y
https://sites.google.com/site/tomopikosato/supplement